今年から全国菓子工業組合連合会(本部・東京、岡本格雄理事長)では組合員の中から優秀な菓子技能者を選び、特別な賞が贈られることになった。これは、菓子製造業に三十年以上従事し、菓子の製造技術が特に優れた全国の組合員に贈られる賞というわけだが、この賞の最初の人に、苑田哲雄さんが選ばれた。

「私以上に工芸菓子のことを勉強されている方はあちこちにおられます。それだけに、選ばれたことに私自身がびっくりしています」と驚きの表情ながら「ただ、いろいろなイベントで工芸菓子や、上生菓子を作ったり、あちこちの講習会へ出かけ、講師を務めていることが認められた、ってことですか」と笑顔を見せる。これまでの菓子の製造技術者に贈られる賞といえば、行政関係者から伝統技能者へ贈られる賞が中心だった。
これに異を唱えたのが福岡県菓子工業組合の床鴫政宣副理事長(阿さひ飴本舗・甘木市)で「我らの連合会の理事長が独自で贈る賞があってもいいのではないでしょうか。それも都道府県の各組合の理事会が推薦してくる技術者を表彰してはどうでしょうか?]と提案、これが認められ、苑田哲雄さんが初めての受賞者に。
福岡県内に菓子製造業者で技術者は少なくないが、常に、見事なまでの工芸菓子を作り続けている人は少ない。
その点では、まさしく苑田さんは孤塁を守り続けているのだが、それだけにとどまらず、一昨年の「とびうめ国文祭」では工芸菓子を制作して展示、飯塚市の会場を訪れた麻生太郎外務大臣に絶賛されたこともある。
「今年も間もなく福岡市菓子協同組合から頼まれて、工芸菓子の講習会に出かけるのですが、今回は、牡丹(ぱたん)を教えるつもりです。ただ、その前に実際に作って練習したりする関係で、準備の時間が大変です」と苑田さん。 講習会前後は、店の方は夫人に任せて、そちらに集中するという。 |